自在置物職人でその名を馳せた、高瀬好山(たかせ・こうざん 1869-1934)
長谷川仁・林子記念室で特別公開をはじめました。
赤銅や銀などで作られた10種の昆虫たち。よくぞここまで作ったと、唸らせる細密さです。
現在では、技術の面からもコストの面からも制作不可能なレベルです。
海外ではとても評価の高い芸術品。国内でも、この揃いはほとんど無いようです。
明治から大正期の職人の粋をぜひご覧ください。
高瀬好山(Kozan Takase 1869-1934)
自在昆虫(明治-昭和初期)
Metalwork with Design Insects
小さなパーツをつなぎ小動物の関節や羽などが本物のように動く金工芸品を自在と呼ぶ。三井記念美術館(東京)では本作と同種の昆虫を12体所蔵しているが、揃いの類品は極めて少なく、貴重な作品と言えよう。
高瀬好山は、明治2(1869)年に石川県金沢に生まれ、幼少の頃、狩野派に学んだ。14歳で神戸の海外向けの陶磁器を扱う貿易会社に入り、製造に携わったという。
自在を手掛けるようになった経緯は明らかではないが、24歳の時に京都に工房を開き、明治から大正にかけ傑作とうたわれる作品を生み出した。その精緻な作品は欧米で人気を呼び、今なお評価が高い。