笠間日動美術館:館内のご案内
■パレット / 鴨居 玲 (1928-1985)
|
笠間日動美術館のパレット画のコレクション
笠間日動美術館の収蔵品は、明治初期から現代に至る日本の著名洋画家の代表作品やヨーロッパの印象派、後期印象派からエコール・ド・パリ、戦後アメリカ美術まで、彫刻などを含めて約2000点に上りますが、その中で専門家にも愛好家にも最も喜ばれ、ご高評を頂いているのがパレット画のコレクションです。
パレット画の収集は、かつてユトリロが画商ペトリデスに愛用のパレットに絵を描いて贈ったのを知った長谷川仁(日動美術財団及び日動画廊創立者)が、多年親交を深めた画家たちに願い出て、日動画廊創立40周年の1967年に譲り受けたことが端緒となりました。その後も画家本人や遺族などからの寄贈が続き、世界に例の無い一大コレクションとなっています。
ほとんどのパレットには、その画家の好む主題が描かれていて、小品ながらとても楽しい展示物として親しまれています。長年使い込まれたパレットからは、作家が作品に注いだ情熱が否応なく伝わってきますし、色とりどりにちりばめられた絵の具や筆使いの跡からは、作家の個性や制作の秘密までもが窺えます。
気迫のこもった画業一筋の林武、破滅の予兆を感じさせる自虐的な鴨居玲、甘美な女性たちが舞う東郷青児、女性の温もりが伝わる三岸節子など、さまざまな個性が小さな画面の中に凝縮され、鑑賞者の目を飽きさせることがありません。
その数は、梅原龍三郎や安井曾太郎を始めとする日本近代洋画の巨匠たちや現在精力的に活躍中の作家に加え、ピカソ、ダリなどの外国作家をあわせた約320作家にも及びます。
鴨居 玲 (1928-1985)
石川県生まれ。金沢美術工業専門学校で宮本三郎に師事、同洋画科を卒業。二紀会同人となる。フランス、南米、スペインなどへ渡り、帰国後は神戸にアトリエを構える。「自画像の画家」として、人生の壮絶な側面に冷徹に己を投影しながら常に生と死とを凝視し、命の実態把握にきびしい観察と探求を続けた。神戸で没。姉は下着デザイナーの鴨居羊子。