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■春風萬里荘「北大路魯山人ー志野、織部に見る才人の葛藤ー」

2008年04月28日

春風萬里荘 特集展示
北大路魯山人ー志野、織部に見る才人の葛藤ー
4月19日ー6月22日

このたび、春風萬里荘では、北大路魯山人の数ある所蔵品の中から、志野、織部を中心に、特集展示をいたします。茨城県陶芸美術館「人間国宝 荒川豊蔵」展 開催にあたり、魯山人と豊蔵、この二才人の人生を縦糸に、その作品を検証しようとするものです。

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食文化の真髄を極め、器は料理の着物であるとし、陶芸にも独自な才を示した北大路魯山人。恵まれない幼少時代を抜け出し、その人生を切り開いたのは、生来の才はもちろんのこと、美を追求する強い意志ゆえにほかなりません。

古陶磁の研究に意欲を燃やしていた魯山人は、自邸内星岡窯で働く荒川豊藏の志野古窯址発見(昭和5年)により、美濃陶への関心をさらに高めます。昭和初期には、豊藏の手を借りながら、織部、志野、黄瀬戸等の器を盛んに制作し、その斬新な形状と色彩で、好評を博しました。

一方、作品の放つ光彩とは裏腹に、魯山人は容易に生きる術を良しとせず、人間国宝認定の打診をも受付ませんでした。独尊の人 魯山人が、孤独のうちに人生を終えたのは、50年近くも前のことです。しかし、遺された作品は、いまだ燦然と輝き、多くの人々を魅了してやみません。

本展では、桃山陶への共鳴により生みだされた、魯山人の志野、織部、黄瀬戸に焦点をあて展観、また古陶磁を参考出品いたします。魯山人と豊藏、桃山陶を交えて縁浅からぬ二人の饗宴を、春風萬里荘、茨城県陶芸美術館でお楽しみください。
(KA)