笠間日動美術館:学芸員便り

ホーム / 学芸員便り / 「日本近代洋画への道」見どころのご紹介(1)

■「日本近代洋画への道」見どころのご紹介(1)

2008年12月13日

高橋由一「鮭図」明治12ー13年(1879ー80)

高橋由一は文政11年(1828)、佐野藩の江戸屋敷に生まれました。はじめ日本画を学びますが、西洋の石版画に感銘を受け、文久二年(1862)に番書調所画学局に入り、慶応2年(1866)、『イラストレーティッド・ロンドン・ニューズ』の特派員ワーグマン(英人)に実技の指導を受けています。1878年のパリ万国博覧会に出品、また私画塾を開いて、後進の指導にもあたりました。一貫して写実を追及し、日本近代洋画における先駆者として、高い評価を得ています。

本作では、サケの身や骨を板の上に精密に表現し、面白味を出しています。また、縄の藁やうろこの光沢などには、由一の優れた描写力がうかがえます。それまで絵画のモチーフとして考えられなかったサケですが、高橋由一に傾倒した多くの画学生もこの主題に取り組みました。後進に大きな影響を与えて、明治27年(1894)、66年の生涯を閉じました。
%E9%AB%98%E6%A9%8B%E7%94%B1%E4%B8%80%E3%80%8C%E9%AE%AD%E5%9B%B3%E3%80%8D1879-80%E5%B9%B4.jpg