2009.10.11、向井潤吉展関連イベント講演会が開催されました。
本展は、世田谷美術館向井潤吉アトリエ館よりご出品いただいての開催となっています。
今回は、講師に世田谷美術館美術課長の橋本善八(よしや)さんを講師にお迎えしました。
向井潤吉は、宮大工の家に生まれ、幼い頃よりものづくりに親しんできました。
しかし、15歳のとき、どうしても油絵を描きたいと、父の反対を押し切って画業の道を志すようになるのです。
関西美術学院卒業後、パリへ留学。ルーブル美術館で名画を模写をして学び、
その後、戦争が始まると、潤吉は戦争記録画を描くようになります。
橋本さんは、向井潤吉の画業をふりかえり、なぜ茅葺き民家を描いたのかもお話くださいました。
空襲を目の当たりにし、日本の民家、風景画なくなることにむなしさを覚え、せめてなくなる前に
絵に残しておけば何かの役に立つのではないかと考えた向井潤吉。
現場で描くことにこだわりましたが、制作の過程を見ると、それがすべてありのままの風景を写し取っただけのものではないことがわかります。
構図やモティーフの組み合わせを工夫することにより、自身の世界を表現していたのです。
最後は、向井潤吉が訪れた場所をグラフにして紹介してくれ、さらには「せっかく茨城にきたのだから・・・」と茨城を深く調べてくれたのですが、なんと当館の分館春風萬里荘に2回も訪れていたのです!
様々な視点から作品を捉えた橋本さんのお話にお客様は大満足のご様子でした。
今回の講演会を逃してしまった方、今後の展覧会イベントも充実していますので、
是非ご来館下さい。(SR)