笠間日動美術館で絵画の専門家や愛好家にも最も喜ばれ、ご高評をいただいているのがパレット画コレクションです。
モーリス・ユトリロのパレット
パレット画の収集は、かつてモーリス・ユトリロがパリを代表する画商ポール・ペトリデスに愛用のパレットに絵を描いて贈ったのを知った長谷川仁(日動美術財団及び日動画廊創立者)が、多年親交を深めた画家たちに願い出て、日動画廊創立40周年の1967年に譲り受けたことが端緒となりました。その後も画家本人や遺族などからの寄贈が続き、世界に例のない一大コレクションとなっています。
安井曾太郎のパレット
ほとんどのパレットには、その画家の好む主題が描かれていて、商品ながらとても楽しい展示物として親しまれています。長年使いこまれたパレットからは、作家が作品に注いだ情熱が否応なく伝わってきます。また、色とりどりに散りばめられた絵具や筆使いの跡からは、作家個性や作品の秘密までもが窺えます。
奥谷博のパレット
気迫のこもった画業一筋の林武、破滅の予兆を感じさせる自虐的な鴨居玲、甘美な女性たちが舞う東郷青児、女性の温もりが伝わる三岸節子など、様々な個性が小さな画面の中に凝縮され、鑑賞者の目を飽きさせることがありません。
梅原龍三郎や安井曾太郎をはじめとする日本近代洋画の巨匠たちや現在精力的に活躍中の作家に加え、ピカソやダリなどの外国作家も所蔵しています。
(参考:『笠間日動美術館パレット選集』)