笠間日動美術館:館内のご案内
企画展履歴
常磐線東京駅乗り入れ記念 絵画と写真で巡る 大鉄道展
Railway Exhibition - Paintings and Photographs -
2015年3月7日(土)〜5月24日(日)
長谷川利行《赤い汽罐車庫》1928年 |
19世紀初頭に実用化された蒸気機関車による鉄道は、日本では明治初期に走り出しました。150年近く経った現在、鉄道網は日本の隅々まで広がり車体も飛躍的に進化しています。鉄道は私たちにとって無くてはならない生活の一部であり、また憩いをもたらしてくれる乗り物と言えるでしょう。
鉄道は様々な美術作品にも登場し、私たちを楽しませてくれます。蒸気機関車を描いた錦絵は明治日本の近代化を伝え、絵画には画家それぞれの鉄道への思いを見ることができます。またカメラがとらえた故郷の駅舎は遠い日の記憶を呼び起こしてくれます。
この度は、常磐線の東京駅乗り入れを記念し、明治から現代までの油彩画や水彩画、錦絵、資料などに加え、人気鉄道写真家・中井精也の作品を三章に分けご覧いただきます。
鉄道は単なる移動手段や貨物の運搬という役割を超え、様々な分岐をはさみながら夢を繋いでいます。
鑑賞者のそれぞれが記憶のレールをたどり、また鉄道の未来をご想像いただけましたら幸いです。
出品作家
勝 海舟/歌川広重三代/小林清親/五姓田義松/伊東深水/岡田三郎助/石井柏亭/鍋井克之/長谷川利行/長谷川三千春/森 惣介/石川滋彦/井上 悟/佐々木信平/相笠昌義/藪野 健/池口史子/小杉小二郎/遠藤彰子/渡邊榮一/松井ヨシアキ/久保木 彦/金森宰司/筧 本生/木津文哉/開 光市/齋 正機/齋藤 将/小木曽誠/柏本龍太
木津文哉《遠雷の譜》1998年 |
久保木 彦《鉄路のシグナルボックス》1978年 |
Ⅰ-1 鉄道今昔物語
日本鉄道史にみる暮らしの変遷を3回の展示替えにより紹介いたします。
文明開化から昭和まで日本鉄道史を顧みる (3月7日〜29日)
五姓田義松《駿河湾風景》 |
鉄道の歴史を顧みる試みとして、鉄道と時を同じくして台頭してきた明治洋画と石版画を展示いたします。五姓田義松の油彩画「駿河湾風景」、そして単色刷りの中に部分的な手彩色が際立ち、錦絵と異なる魅力を持つ石版画の世界を是非ご堪能ください。また、全国の駅舎を描き続けた国鉄職員、森惣介の水彩作品と共に昭和後期の東京駅から高萩駅までを訪ねます。懐かしい景観を思い出しながら、駅舎建築の妙味をお楽しみください。
最後の浮世絵師 小林清親と鉄道七十年事業 (4月1日〜30日)
小林清親《高輪牛町朧月景》1879年 |
「最後の浮世絵師」と呼ばれ、光線画の生みの親である小林清親は、文明開化によって近代化していく東京を、光の細微な加減によって、どこか江戸の匂いがするノスタルジックな画面に捉えました。鉄道が開業70年を迎え、記念事業として、伊東深水は《鉄道七十年の今昔「七十年前の新橋駅」》を描きました。鉄道の走り出した時代と、鉄道が生活の一部となった時代をコラボレーションでご紹介します。
鉄道×歌川派 (5月1日〜24日)
歌川広重(三代)《東京汐留鉄道舘蒸気車待合之図》1873年
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江戸後期から幕末にかけて隆盛した歌川派。人々の嗜好や流行を追い続けた彼らに明治時代がもたらしたものは、散切り頭とステンション、洋服に陸蒸気など、目まぐるしく変わる東京でした。 舶来の赤色を多用し、「赤絵」と呼ばれる華やかな開化絵を描いた三代広重、鉄道開業前にも関わらず、世相を伝える錦絵の役割を懸命に果たそうと、伝聞や外国の書物などから得た情報で実物とは大きく異なる機関車を描いた芳虎など、彼ら歌川派の作品を中心に、当時の人々の中でどれだけ鉄道が関心を引いていたか探ります。
Ⅰ-2 鉄道あれこれ
明治時代に描かれた錦絵や石版画は、当時の鉄道がどのような受け止め方をされていたか探る上で貴重な資料となりますが、鉄道を物語るのは、車両などを描いたものだけに限られません。岡田三郎助《野菊と薔薇》の画面には、一切鉄道が出て来ませんが、この作品は、1924年に摂政宮(後の昭和天皇)ご乗用として製造された12号御料車の御座所に展示されており、鉄道史上を飾る逸品と言えるでしょう。
岡田三郎助《野菊と薔薇》 |
《機関車略図》1891年 鉄道博物館所蔵 |
本展では、カンヴァスに描かれた鉄道だけでなく、図面に描かれた車両や鉄橋なども登場します。 明治初期などに描かれた製図図面は、淡い色彩が施されることもあり、設計図本来の役割だけではなく、一つの作品にも見えてきます。また、透視図として描かれる図面は、内部の構造を理解した者のみに描くことのできるものであり、精緻な美しさすら感じられます。 その他、明治維新の翌年に、日本で初めて施設された新橋―横浜間を結ぶ官営鉄道のレールや、昭和期の切符や改札鋏、制服や駅時刻表なども展示します。また、本物と見間違うほど精巧なジオラマを1階、2階両会場にてお楽しみいただけます。
木津文哉制作《貨車群》 |
Ⅱ 鉄道 画家たちのオマージュ
遠藤彰子《透影》2009年 |
文明開化の象徴でもある蒸気機関車は、メディアとしての役割も担っていた浮世絵師たちにとって、絶好のモチーフとなり、数々の名作が生み出されました。しかし、それも今は昔、現代の画家たちは、車両の持つ重厚感や、駅舎に広がる出会いや別れの空気、故郷に繋がる線路が呼び起こす郷愁や憧憬など、各々が持つ鉄道への思いを描き続けています。第2章では、日本のゴッホと呼ばれた放浪の画家・長谷川利行をはじめ、様々な空間・時間を一つの画面に定着させ神秘的な画面を構築し、2014年に紫綬褒章を受章した遠藤彰子、リアリズムに郷愁を潜ませる木津文哉など、鉄道に魅せられた画家たちの作品をご覧いただきます。
松井ヨシアキ《七里ガ浜の江の電》2009年 |
池口史子《夕陽》1991年 |
Ⅲ 中井精也写真展 ゆる鉄紀行
© SEIYA NAKAI |
僕の代表作である「ゆる鉄」は、決してゆるい品質の鉄道写真ではありません(笑)。ローカル線に乗っているときに感じる「ゆる〜い空気感」や、鉄道だけが持つ「旅情」をテーマにした作品です。線路わきで出会った、ゆる〜い風景や人と鉄道が織りなす、思わず笑顔になるような作品たちを、ぜひご覧ください。
(中井精也)
© SEIYA NAKAI |
© SEIYA NAKAI |
中井精也略歴
1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを広げた。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動。 株式会社フォートナカイ代表。著書・写真集に「デジタル一眼レフカメラと写真の教科書」「DREAM TRAIN」(インプレス・ジャパン)、「ゆる鉄」(クレオ)、「都電荒川線フォトさんぽ」(玄光社)などがある。社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)副会長。甘党。 |
展覧会名 | 常磐線東京駅乗り入れ記念 絵画と写真で巡る 大鉄道展 |
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会 期 | 2015年3月7日(土)〜 5月24日(日) |
会 場 | 笠間日動美術館 企画展示館 |
主 催 | 公益財団法人 日動美術財団 笠間日動美術館 |
共 催 | 東日本旅客鉄道株式会社水戸支社 |
特別協力 | 鉄道博物館/東京ステーションギャラリー/ソニーマーケティング株式会社/M&M Color |
後 援 | 茨城県/茨城県教育委員会/笠間市/笠間市教育委員会/NHK水戸放送局/茨城放送/茨城新聞社/朝日新聞水戸総局/産経新聞水戸支局/東京新聞水戸支局/毎日新聞水戸支局/読売新聞水戸支局 |
開館時間 | 午前9時30分より午後5時(入館受付は4時30分まで) |
休館日 | 毎週月曜日(但し5月4日は開館、5月7日は休館) |
入館料 | 大人1000円、大学・高校生700円、中学・小学生 無料 65歳以上800円(20名以上の団体は200円割引、障害者手帳をお持ちの方、その同伴者1名は半額割引) ※春風萬里荘との共通券:大人1,400円、大学・高校生900円、中学・小学生 無料、65歳以上1,100円(20名以上の団体は200円割引、障害者手帳をお持ちの方、その同伴者1名は半額割引) |
交通案内 | 【JR利用】 ・常磐線友部駅(9:50/10:50/11:50発)より『かさま観光周遊バス』(100円) または 市内循環バスで約15分。「日動美術館入口」下車徒歩2分。 ・水戸線笠間駅より徒歩約20分(日動美術館・春風萬里荘共、但し方向は逆) 『かさま観光周遊バス』またはレンタサイクルの利用が便利です。 【自動車利用】 ・常磐道友部JCT経由、北関東道友部ICより国道355号線経由約6q ・東北道栃木都賀JCT経由、北関東道笠間西ICより国道50号線経由約8q |
■会期中のイベントのご案内
鉄道写真家中井精也 講演会&サイン会
日時:3月7日(土)、5月2日(土) 各日14:00〜
鉄道写真家中井精也 乗車イベント
【日程】
4月11日 土曜日
JR品川駅集合 9:15予定
往路 品川9:44発→ひたち7号→水戸11:05着
水戸駅到着後、貸切バスにて笠間日動美術館へ。到着後、お弁当昼食。
昼食後は美術館内の自由拝観
中井精也と撮る、ゆる鉄有葉線♪
ツアー参加者限定のトークイベント!
17:15発 笠間日動美術館を出発して友部駅へ移動
4月11日 土曜日
復路 友部18:03発→ときわ86号→19:10上野着
往復の列車内では希望者の方にサインと記念写真を行います。
【旅行費用】
お一人様: 19,800円
幼児(就学前/座席・昼食なし): 無料
費用に含まれるもの:往復の貸切列車運賃、水戸〜友部間の貸切バス運賃、笠間日動美術館入場料
お弁当(幼児は含まれません)、車内での茶菓子、イベント実施の際の景品及び雑費
問合先:ワールドファンツアーズ info@funtours.jp
学芸員によるギャラリートーク(絵画)
日時:4月18日(土)、5月23日(土) 各日14:00〜
プチ・コンサート (各日14:00〜)
根本香織 |
ゆるリコ・ファミリーオ |
5月3日(日・祝):「リコーダーで巡る 日本の歌・世界の歌」演奏:ゆるリコ・ファミリーオ
夢境庵茶会 (春風萬里荘)
4月11日(土)10:00〜16:00 席主:原田勝子(表千家)
イベントについてのお問い合わせは笠間日動美術館へ
TEL:0296-72-2160 FAX:0296-72-5655
メールでのお問い合わせはこちらへ
岸田劉生お披露目会
岸田劉生最大の紙本彩色画を従来の劉生コレクションと合わせて展示します。是非ご覧ください。
作品明細
《村嬢奉壽》紙本彩色 168.5x84.1cm
《拾得図》紙本彩色 146.0x81.4cm
会期:4月2日(木)〜5月6日(水)
会場:フランス館